INTERVIEW FOREGO PEOPLE #005

ILLUSTRATOR | GRAPHIC DSIGNER SHUHEI URANO [ SHU-THANG GRAFIX ]

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アメリカ西海岸から花開く、しなやかな共創関係。

Webデザイナー、ソニーのUIディレクター/デザイナーを経て、GoogleのUXデザイナーへ。アメリカ・サンフランシスコのITフロンティア最前線で仕事をするUXデザイナーとしての顔と、他ジャンルのアーティストと実験や創作を協業するkyndとしての顔を持つ米田研一。
異なる立場がしなやかに共存する彼のデザインワークを紐解きました。

誰にむけて、何をつくるのかを考えユーザーの体験をデザインする

今、僕はUXデザイナーという肩書きですが、誰に向けて何を作るかによって考えることが大きく変わってきます。
製品やサービスであれば、実際に使うユーザのことを考え、何を感じるのか、何ができるのか、どのような操作でやりたいことを実現するのかといった、具体的な体験をデザインすることになります。例えば、写真を撮ってシェアしたり、車を呼んで目的地にたどり着くといった行為がデザインの対象になりますね。

Androidのようなプラットフォームの場合は、製品を使うエンドユーザだけでなく、そのプラットフォームの上でアプリやサービスを開発する人もユーザです。いわゆるOSとしての機能に加えて、他のチームやサードパーティーがプロダクトを作り、エンドユーザに届けるためのツールもデザインするという感覚です。
SDK(ソフトウェア開発キット)などの実装や、マテリアルデザインのようなガイドラインを通じて、使う人が迷わないようにプラットフォームとしての一貫性を保ちつつ、個々のブランドやサービスが価値や世界観を表現できるようにする。そのためにも、それぞれの視点で具体的に考えて、プラットフォームとして何を提供すれば良いのかを抽象化してまとめていくことが大切だと僕は思っています。

ロジカルに突き詰め、クリエイティブに追い込むUXデザインの魅力

デザインの仕事には直接ユーザの目に見える部分以外にも様々なレイヤーがあります。何を目的として、何を作るのかという根本的な部分を考える。デザインのプロセス自体や、情報を整理するための枠組みをつくる。
UI(ユーザーインターフェース)などのタッチポイントを具体的にデザインしてエンジニアと共に実装する。アイデアを出すためのエクササイズを考えたり、デザインやプロトタイピングに必要なツールがなければ自分で作ったり、僕の場合は直でコードを書いて実装することもありますね。
そういう意味でも、ロジカルに突き詰めていく部分と、感覚で追い込んでいく部分があって、その両方を必要とするところにこの仕事の魅力があると感じています。

考えるときはまず全体を眺めて、重要そうなところや、つまずきそうなところから手をつけるようにしています。
一度行き詰まるところまで考えると、「何が分かっていないのか」「本当にやるべきことは何か」など、いろいろなものが見えてくるからです。「そもそも作っているものが正しいのか」と考えたり、行き詰まったら……、一旦手を離して他のことをやってみる。分かっていないことがあればそれについて考える。
一度、その時点の限界まで考えたことついては感度が高まっているので、一見関係ないようなことや他の仕事からもつながりを発見したりヒントに気づきやすくなるんですよね。

軽やかにつながるコミュニケーション。新たなインプットが次のクリエイションを創り出す

kynd名義の個人活動は、ProcessingopenFrameworksでの自由研究が始まりでした。
kyndという名前は、最初に取ったドメイン名がそのまま名前として残ってしまった形です。
この名義を最初に「カインド」と発音したのはアメリカ人の知り合いです。それまでは僕自身も何と発音するのか考えたこともありませんでしたね(笑)。

最初は作ったものを適当にwebにあげているだけでしたが、当時Openframeworksの開発リーダーだったKyleがYCAMの開発者会議に呼んでくれたり、CreativeApplications.NetWIREDなどのメディアで取り上げられたことで急につながりが広がっていきました。
コミュニケーションが非常に軽やかで、オンラインでちょっと話して、「よしやってみよう」といった感じで話が進んでいくことが多いです。

例えばThe book of shadersというシェーダー言語を学ぶためのサイトは、最初に著者のPatricio(Patricio Gonzalez Vivo)が始めて、僕が手伝っているだけだったのが、今では人も増え翻訳も7言語にまで広がりました。みんな時間がある時にちょこちょこと作業をしているみたいです。先日ニューヨークのSFPC(School for Poetic Computation)という学校で、新入生に向けたプレゼンをしたときzも、創立者の一人Zach(※openFrameworks開発者の一人)から数日前にチャットで「ニューヨークにいるなら何か話してよ」という感じで(笑)。

一緒にライブを行ったり、MVを作ったりしているサウンドアーティストのsawakoさんも最初はオンラインだけでした。もらった音源がよかったので映像をつけてみようと作ったのがnemumellocus of everyday lifeですが、MIAF(Melbourne International Animation Festival)などの映像祭からも声がかかって色々な場所で上映されました。

去年はVJ用のツールを作るという形で東京でのライブに参加したり、BRDGのイベントでVJをしたりもしました。
自分一人では浮かんでこない発想で取り組めるという意味で誰かと一緒に何かをつくるというのは楽しいです。
新しいことを学んでいくインプット作業として、どんどん違うことを試していくのが自分にとって大事なことですから。

変わるのはデザインするモノ、デザインのあり方。デザイナーは新たなアプローチをつくり出して実現する

10年前、UXデザインという仕事はほとんど聞いたことがありませんでした。10年後、その名前の仕事があるかどうかは分かりません。仕事のあり方もどんどん変わっていくと思います。例えば画面もなくユーザが何も操作しない体験が当たり前になるかもしれません。

そういう状況でもデザインは必要です。変わるのはデザインするモノであり、デザインのあり方。そこでデザイナーに求められるのは新たなアプローチをつくり出して実現することです。
その状況で生まれてくる、今はまだない仕事を自分で牽引できる場所に立っていたら、面白いだろうと思います。

Works by KENICHI YONEDA

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INTERVIEW & WRITING
Koji Araikawa (HUGLER EDITING ROOM)
FRONT-END
QLOT.INC http://www.qlot.co.jp/

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アメリカ西海岸から花開く、しなやかな共創関係。

Webデザイナー、ソニーのUIディレクター/デザイナーを経て、GoogleのUXデザイナーへ。アメリカ・サンフランシスコのITフロンティア最前線で仕事をするUXデザイナーとしての顔と、他ジャンルのアーティストと実験や創作を協業するkyndとしての顔を持つ米田研一。
異なる立場がしなやかに共存する彼のデザインワークを紐解きました。